一日一書〜青橋由高の限りない物欲

 売れない小説家・青橋由高が物欲(主に書籍と自転車関連)に任せて集めまくった品々をひたすら羅列するブログ。

ライトノベル

鉄腕バーディーDECODE あの日の小夜香へ 浅川美也

鉄腕バーディーDECODE (ガガガ文庫)鉄腕バーディーDECODE (ガガガ文庫)
著者:浅川 美也
販売元:小学館
(2009-02-19)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る
話題のアニメ化作品をガガガ流ノベライズ!
宇宙連邦捜査官バーディー・シフォン=アルティラは、重犯罪者ギーガーとバチルスを追って地球へと辿り着いたが、潜伏捜査中に誤って地球人“千川つとむ” の命を奪ってしまう。バーディーは自らの体につとむの記憶と心を宿すことを決断、二心同体の不思議な“同居”生活が始まった! アニメでは語られなかった生物兵器“リュンカ”の謎と神秘に迫る!「週刊ビッグコミックスピリッツ」好評連載中のゆうきまさみ作品をアニメ化した『鉄腕バーディーDECODE』、人気ヒロイン中杉小夜香を大フィーチャーした小説版登場。

 ここ最近見たり読んだりした中では断然のボーイミーツガール作品だったのが「鉄腕バーディーDECODE」の第1期。
 終盤のストーリー展開は途中で読めちゃうんですが、でもその切なさに思い切り泣いちゃったのは私です。

 この小説版はアニメの流れをかなりざっくりとまとめたものなんですが、メインになってるのがヒロインである小夜香からの視点。

 アニメ版が大好きって人にしかオススメしにくい本ではありますが、逆に言えば、あのラストに感動したのであれば、反芻するために是非、と推奨したい作品です。

 まさか原作のコミック版にも小夜香が登場するとはなあ……。
 今後に期待。

 もちろん、アニメの第3期もね。

ROOM NO.1301 #11 新井輝

ROOM NO.1301 #11 彼女はファンタスティック!
新井輝(著)・さっち(イラスト)
富士見ミステリー文庫
健一の恋愛を探求する物語、感動の完結!

冴子が倒れた−−病院に駆けつける健一。綾と刻也は何も言わないが、冴子は助からないと覚悟している様子にも見えた。「大丈夫ですよね?」健一は声を荒らげるが。幽霊マンションの面々、そして健一はどうする?

 いよいよ完結編。

 心配していたあのシーンは読んでいて逆にびっくりするほどあっさりしていて、それが逆に色々なことを考えさせます。
 過剰な装飾をせず、ただ淡々と、けれど必要最低限の情報だけは的確に連ねて、健一を、この物語の主人公たる健一を余すところなく書ききってくれた、そんな気がします。

 一巻の冒頭でほぼすべて描かれていたように、やはりオチに変化はありませんでした。作者に向けて延々と毒電波(「奇跡を起こせー、奇跡を起こせー」)と垂れ流していましたが、当然のように未着だったようです。そりゃそーだ。

 が、しかし!
 私がずっと「ヒロインは綾でも千夜子でも冴子でもなく、ましてや鈴璃でもなく、絶対にホタルだッ!!」と言い続けてきた願いはどうやら作者に届いたようで(大嘘)、最後の最後に嬉しいエピソードを読むことができました。
 ふふふ、これだけで私は満足だ!!


 嬉しい驚きはホタル絡みのエピソードだけでなく、エピローグにも満載でした。
 てっきり、健一たちは最後まで……と覚悟してたんですが、まさかの嬉しい誤算。


 さーて、これから1〜10巻のプロローグとエピローグをまとめ読みするか!

れでぃ×ばと! 8 上月司

れでぃ×ばと! 8
上月司(著)・むにゅう(イラスト)
電撃文庫
 白麗陵学院文化祭でミスコン開催!! 選ばれるのは、どっちだ!?

 伝統と由緒ある名門・白麗陵学院で、理事長の思いつきからミスコン開催が決定!! 名門校にあってはならぬこの椿事にやっぱりいつも通りに巻き込まれた秋晴は、審査員をすることに。ミスコンにはもちろん朋美とセルニアがエントリーしている訳で、ということは秋晴がどちらかを選ぶという訳で……!!?
 さらに思わぬ強敵・朋美母が襲来! その結果秋晴とセルニアが朋美の自宅にお泊まり訪問することになったり、大地が女装(?)して秋晴とデート&××することになったり……!!?? とにかくあっちもこっちもドキワク胸キュン受難続きの第8巻!!

 ミスコン……おおっ、そういやそんなお約束イベントもありましたね!
 さらには実家訪問イベント、そして嬉し恥ずかし初デート……ラブコメ界にはまだまだ宝の山が残ってることを実感させてくれる8巻です。

 ミス腹黒の出番が増えたのは今後の展開に期待を抱かせていいことなのですが、問題はこの作品のメインヒロインである(だよね?)掘削ドリルお嬢様の出番がちょっとばかし足りないことだけが残念。

 ドラマCD出るようですが…………買うか。

護くんに番外編で祝福を! 4 岩田洋季

護くんに番外編で祝福を! 4
岩田洋季(著)・佐藤利幸(イラスト)
電撃文庫
エメレンツィアが一時帰国。絢子と護ほか多数も大張り切りな番外編第四弾!

 お久しぶりです、エメレンツィアです。今回はとある事情のため、懐かしい東ビ大附属(ホーム)に来ることが叶いました。ちょうど到着した日が、護たちの“ 桜の下での告白@らぶらぶ一周年記念”だとしましても、再来日の目的は全うしなくてはいけません。そう、私にはニッポンの秋を満喫するだけでなく、大事な三つの目的がありまして──。
 まず一つ目は護にピッタリ寄り添って監視すること。護の家にお泊まりすることになったのは僥倖です。護を守るとはこれいかに!? そして二つ目は“これぞフウリュウ!”という紅葉と温泉の秋を堪能すること。もちろん覗きなんて許しません! そして三つ目は……こ、これは、おこがましくて、まだ内緒なのでして……。

 本編の後日談、しかも鬱展開皆無! の、まさにの如き番外編。このシリーズはこういうスタイルこそがベストだと信じて疑わない私です。あのクソ兄貴もしゃしゃり出てこなかったし(ここ重要)!

 未来?の話はサービス要素てんこ盛りだったし、旅行編もいつもの楽しいノリ。シリーズの愛読者にとっては文句のない番外編でしょう。少なくとも私は満足。

 そして、まさか登場するとは思わなかったあの人物が遂にその姿を現します……(笑)。

とらドラ8! 竹宮ゆゆこ

とらドラ8!
竹宮ゆゆこ(著)・ヤス(イラスト)
電撃文庫
注目の超弩級ラブコメ・第8弾!
始業式前日。 インフルエンザからようやく回復したものの、精神的にはいまだ立ち直れない竜児に、大河は自立宣言を突きつける。 それは……、他ならない竜児と実乃梨のため。
そして幕を開ける新学期。竜児はぎくしゃくしながらも、実乃梨となんとかもう一度向き合おうとする。
折りしも学年最後のイベント・修学旅行が目の前に迫っており、竜児はそこで実乃梨の真意を確かめようと決意するが――。
なにやら雰囲気の変わった大河と北村、新学期になってやたらと突き放すような態度をとる亜美。
それぞれの思惑を秘めた修学旅行の行方は……!?

 1巻のときから「いつかこうなる」「いや、前作とは違う展開にするはずだ」と期待と恐怖が半々だった「とらドラ!」ですが、遂にその分水嶺に突入したようです。まあ、7巻ですでに頭突っ込んでましたけども。

 今後どういった展開にするかちょっと読めませんが、あまりアレな方向に突き進まないことを心から願っております。


 独身(30)が一番好きなのは秘密だ!

『ネクラ少女は黒魔法で恋をする 4』 熊谷雅人

ネクラ少女は黒魔法で恋をする (4) (MF文庫J
熊谷雅人(著)・えれっと(イラスト)
空口真帆の特技(?)と趣味は黒魔法。彼女は学校では無口でおとなしいが、家では妹と言い合いすることもしばしばだ。ある日、真帆は妹の夏樹を実験台に新しい魔法をこっそり試そうとする。しかし、気づいた夏樹は大激怒。いつもなら呆れるだけで怒らない夏樹なのに、と真帆は戸惑うが、「ふん、度量の小さいやつめ」と強がる。そのうち怒りがおさまればいつもどおりに接してくるはず、と思ったのだが、夏樹の態度は頑なで……(空口姉妹の気づかず傷つく絆)。真帆と夏樹の日常を描いた短編のほか、しのや大河内、湊山と三癒も大活躍(!?)の短編集。演劇部の合宿では憧れの先輩・一之瀬とふたりきりに!? ハートフル黒魔法コメディ第4弾。

 長編もいいですけど、こういう日常にスポットを当てた番外短編・中編はもっといいですね。しかもサブキャラが主役ってところがさらに高ポイント。

 ヒロインの真帆がどんどん普通というか、明るくなっていくのはちょっと寂しいような……。もっと電波で腹黒のままでいて欲しいと願う私はダメ人間。


 今回収録された作品の中で一番好きなのは、やっぱり空口姉妹のエピソード。

『さよなら、いもうと。』 新井輝

さよなら、いもうと。 (富士見ミステリー文庫)
新井輝(著)・きゆづきさとこ(イラスト)

大切な人が、そばにいると嬉しい。ある兄妹の物語―。

トコが死んだのは三日目のことだった。交通事故だった。大型トラックに弾かれたとだけ聞かされた、遺体は見ない方がいいと言われた。そんな死に方だった。
そう、そりゃ言葉では分かっている。人間いつか誰だって死ぬってことは。自分であれ、他人であれ、事故なのか、病気なのか、寿命なのか。
でも、俺は死ぬってことがまだよく分かっていなかった。そしてもっと分かっていなかったのは、人が生き返るってことで―。
由緒正しい魔法の日記に書かれていた「お兄ちゃんと結婚したい」という言葉のせいなのか、妹―トコは生き返り、また俺と暮らすことになったんだ…。

新井輝が描くどこにでもいる普通の兄妹の、普通ではない数日間の物語。それは、ちょっと素敵でちょっと切なく心に染みわたっていく―。


 きゆづきさとこさんの可愛らしいイラストと「妹モノ」という響きに「萌え!?」と勘違いした人も結構いたそうですが、このあらすじと「さよなら」というタイトルを見れば、そーゆーお話じゃないことはおわかりかと思います。

 ただし、これまた少なくない方が想像するような鬱展開とかお涙ちょうだいものでもありません。そんな単純な作品じゃないんです。
 だって、書いてるのが「ROOM NO.1301」シリーズの新井輝さんですもの。


 ストーリーは、あらすじにあるとおりです。
 突然の交通事故で妹を喪った兄の視点で、(誤解を恐れずに書けば)淡々と物語は進んでいきます。そこに、湿っぽさはほとんど感じられません。むしろ、心地よいくらいに乾いた、冬の朝に感じるような、あの澄み切った空気感があります。

 生き返った妹のあっけらかんとした言動がそう思わせるのかもしれませんが、新井さん独特の文体が大きく寄与してると私は感じました。


 しかし、読んでいる人間がみんな予想するように、物語はある一点に向けてゆっくりと、けれど着実に進んでいきます。進んではいきますが、そのスピードは極めて緩やかで、そして「イタクない」のです。


 あっさり、という言葉が妥当かは疑問ですが、そんな感じでこの不思議な物語は(一応の)決着をします。
 しますが、それは新しいスタートでもあり、これが本当の終わり、とも思えない、そんなエピローグに繋がっていきます。


 湿っぽい題材ですけど、読後感はいい意味でさっぱりしている作品です。


 あとがき読むと、続編の構想もあったような……?
 もし続編があるとするなら、どんな話になったんでしょうね。凄く気になります。

『私の愛馬は凶悪です』 新井輝

私の愛馬は凶悪です
新井輝(著)
緋鍵龍彦(イラスト)

恋とか友情とかえっちとか。悩めるきりりんの青春物語。

えっち、えっち、えっち──て男の子はそんなことばかり考えてるって私は思ってた。
だから、毎日違う女の子とえっちしてるクラスメイトになんて近づかないって思ってたけど。
私、高岡霧理は女たらしと噂高い射水君に説教したら、思いがけない複雑な事情とかあって、怒った自分が単純だったと思い知る事に。
というか弟も気づけば彼女がいるし、妹なんてもう経験済み!?
それじゃ常識知らずなのは私なの?
恋にえっちにとクラクラ揺れる霧理たちの青春模様開幕。


 「ROOM NO.1301」シリーズがそろそろ佳境(らしい。多分。違ったらごめんなさい)なのでちょっと寂しいなって思ってたんですが、今度はこちらで新シリーズがスタート。
 相変わらずエッチで青春でエッチで切なくてエッチで面白くてエッチな(しつこい?)小説です。ラヴコメってよりは青春小説、でしょうか。まだ1巻なのでわかりませんけど。

 「ROOM」が好きでまだ未読の方はさっさと買うように!


 イラスト、凄くいいですね。妙にエロいし!(こればっかだな)


 ヒロインの「霧理」をずっと「つゆり」だと思ってたのは内緒です。正しくは「きりり」。霧と露を間違えるようなダメ人間でも小説家になれる世の中って素晴らしいとボクは思います。

 ところで、2巻はいつ出るんですかー?

電撃の8月は強力ラインナップ

 今月は素晴らしいラインナップでした。

護くんに女神の祝福を! 12
岩田洋季

れでぃ×ばと! 4
上月司

狼と香辛料 5
支倉凍砂

とらドラ5!
竹宮ゆゆこ

『ROOM NO.1301 #8 妹さんはオプティミスティック!』 新井輝

ROOM NO.1301 #8 妹さんはオプティミスティック!
新井輝

 あの夜は、本物だった。
 自分の吹くハープが世界を震わせていた。オーディエンスの息吹が、鼓動が、手に取るように分かった。ビートとグルーヴ。
 うねりに身を任せるんだ。
 シーナのボーカルを感じればいいんだ。
 一瞬だけ、そう信じることができた――。
 …でも、やはり自分は本当の本物ではない。シーナは本当の本物だけれども。
 健一にはなんとなく分かっていた。突き抜けていく才能と自分との距離を。綾も、日奈も、刻也も、どこか欠けていて、どこか尖っている。
 ライブを重ねるシーナ&バケッツは着実に聴衆を増やす。一方で、変わらないように思われた13階での日々が、少しずつ変わっていく。どこが、どうとは言えないけれど――。時には可笑しく、時に切ない健一の恋愛を探求する物語第8弾!


 ライトノベルにありがちなど派手な展開(書き手とすれば実は楽なことが多い)はないのに、ぐいぐいと読者を惹きつける圧倒的なキャラとストーリー、そして緻密な構成。
 それはこの最新刊でも健在でした。


 個人的には、ミュージシャンや作家たちのセリフ一つ一つがとにかく胸に突き刺さりました。
 うまく言葉にはできないんですけど、とにかく印象深かったです。

 珍しく?エロ濃度は控えめ(笑)。
自己紹介
ダメ人間なエッチな物書き。千葉県船橋市在住。 「あおはしゆたか」と読んでください。 古いBMCのアルミロードとアラヤのマディフォックスが愛車。
Categories
Recent Comments
Archives
  • ライブドアブログ